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今回はこのような疑問にお答えします。
(※守秘義務の観点から、治験の薬や施設の内容がわかる内容については記述を控えさせていただきます)
治験とは
通常、薬は市販品になるまでに10年以上、開発に時間がかります。
それは、薬が創られる時に、数多くの安全性や、効果に関する試験が行われているからです。
治験の位置付け
治験は、動物での試験を終えた後に、ヒトでの試験が認められた段階になって行われる臨床試験の1つです。
薬が実際に市販されるまでの流れは次のようになっています。
↓
非臨床試験(3〜5年)
↓
臨床試験(=治験、3〜7年)
↓
厚労省による審査(1〜3年)
治験の意味
そのため、分かりやすくまとめると、治験は以下の2つの意味で行われます。
●「くすりの候補」が人に対して安全なのか?
治験ボランティアとは
被験者負担軽減費がもらえる
そして治験ボランティアとは、市販前の「くすりの候補」を実際に試してみるボランティアのことです。
参加するフェーズは3種類のいずれか
治験はフェーズ1〜3の3段階があります。そのいずれかに参加することが決まります。
フェーズ2:安全が確認された「くすり候補」について、少数の患者さんを対象にくするの安全性と有効性などを調べる
フェーズ3:大勢の患者さんを対象に試験を行い、フェーズ2で得られた結果を確かめる
私が参加した治験はいずれもフェーズ3の治験でした。
治験ボランティアとして入院するまでの流れ
そんな治験ですが、流れは次の通りです。
↓
②健康診断
↓
③入院(日帰りのもの、通院のものなど期間はさまざまです。)
電話やネットでの応募
まずは電話やネットで応募します。
応募は、さまざまなサイトからすることができます(JCVNではニキビやメタボと言った内容の治験もあります)。
健康診断
まず初めは、治験の数週間前に行われる健康診断です。健康診断では、診断のほか、様々な説明を受けます。
副作用
治験の全体の流れ
報酬(この時初めて報酬の金額が知れます)
副作用についてはかなりちゃんと見ておいた方がいいですね。私が参加した治験ボランティアでは、外国で先に治験がされていること。また、死亡事故などはなく、また副作用も軽微なものでした。
健康診断結果次第では不参加も
健康診断の結果は、後日メールや電話で行われます。その時に実際の参加者の規格からはずれる人は落とされます。
ある意味、お金をもらって健康診断ができるので、健康診断だけでも意味があると思いました。
治験ボランティア体験談
治験の期間は、2日ほどで終わるものから50日くらいで終わるものまで、さまざまなものがあります。私は7日間のもの、14日間ものに参加しました。
臨床試験中は、飲み薬を飲んで、定期的に健康診断を受けます。
治験被験者の1日
治験の1日はものすごく単純です。
診察と注射が時々あり、後はラジオ対応(と軽い運動)と食事。これだけです。毎日規則正しい生活を送るので、外の世界にいるよりも健康的だと感じることもあります。
注射の回数
採血が多い日もありますが、多くても針を刺すのは1日に2回でした。投薬初日は、採血が多い傾向があるますが(1日に15分おきなど)、そのような場合は留置針を刺します。
留置針は、腕に針を刺したまま使用するもので、点滴の時などに利用される針のことです。これは抜き刺しの時以外は全く痛くありません。
漫画が読み放題
また、漫画が読み放題です。人間の精神は、何もない環境では3日ほどで崩壊してしまいます。そのためか、漫画が、DVDやゲームが充実しています。
バガボンド
BLEACH
亜人
ゴールデンカムイ
宇宙兄弟
ジョジョ
進撃の巨人 などなど
様々な漫画があります。特に欠けているものもなく、全巻楽しめます。治験の被験者は女性もいるのですが、成人男性が多いため、少女漫画は見当たりませんでした。
WIFI
私が治験に参加した施設では、とてもWIFIの環境がよかったです。そのため、パソコンや動画も見れて快適でした。昔の治験に比べると現代の治験はとても快適になっているように思います。
食事
食事は3食決まった時間に食べることになります。特に投薬日の食事では、正確に食べ始めと食べ終わりの時間が決められていたのには驚きでした(他にも薬の内容次第でバリエーションはさまざまです)。
ペースをうまくコントロールして食べるため、早食いせず健康的でした。また、食事はお弁当やのお弁当でしたが、栄養士の監修もあるので、栄養バランスも比較的よかったように思います。
睡眠
入眠と起床の時間がしっかり決められているので、ちゃんと睡眠をとることができます。強制的に寝かされるという感じでしょうか。
複数人で同部屋になりますので、いびきなどがうるさい人がいると長期間だと大変そうです。私の場合はそのような人はいませんでした。
運動
とても健康的な生活を送るイメージの治験ですが、運動はほとんどありません。1日中室内にいるので、ほとんど運動することがないです。
うろついたり、体操をすることはできますが、明らかに運動量は少ないです。看護師さんからは、中性脂肪が増加しないようゴロゴロし過ぎは注意されます。
運動はラジオ対応と院内をうろつくのみ。そのため、積極的に院内を歩くと運動不足は少しは軽減できます。
他の参加者
最後に気になる他の参加者についてですが、私の回では、真面目な人が多かったです。勉強をしたり、本を読んでいる人が多かったのですが、これは選ばれた参加者によるのでなんとも言えません。
私の時は、他の参加者に迷惑をかけたり、禁止されているタバコを吸ったりという人はいませんでした。みんな、静かに淡々と過ごしているという感じでしょうか。
治験に参加するメリットとデメリット
最後に私が考える治験に参加するメリットとデメリットをご紹介します。
治験に参加するメリット
以上の体験から、私が考える治験に参加するメリットは次の通りです。
●お金をもらってゆったりできる(私は7日で11万円、12日で18万円をいただきました!)
●身の回りのことは全てしてもらえるので、読書や勉強に集中できる
●薬ができるまでの過程に携わり貢献できる
自己管理ができない人には、管理された生活で健康的になれるのかもしれません。
治験に参加するデメリット
また、治験に参加するデメリットは次の通りです。
●運動不足になりがち
●副作用のリスク
●他の応募者から迷惑を被るリスク
最後に
いかがでしたか?
今回は、私が体験した治験のボランティアについてご紹介しました。
治験ボランティアと聞くと、「怖い」イメージを持たれてるかもしれませんが、私は薬ができるのには必要な大切な仕事だと思います。
副作用のリスクは確かにありますが、事前の健康診断の際に、実際に投与される薬について過去の知見を全て教えてもらえます。納得した場合のみ参加してみれば良いかと思います。