住み慣れた日本を離れ、海外移住した人には、それぞれの背景があると思います。
「語学の勉強」や「結婚」、あるいは「仕事」であったり。
そん中、私は、「物価の安さ」と「ペット」が決め手でタイへ移住することになりました。
今回はそんな私が、今日までバンコクに住み続けて感じた日常と、移住に至った経緯についてお伝えしたいと思います。
タイと言ったらコレ!「トゥクトゥク」
私のプロフィール
私は、現在38歳。
大学時代に初めて海外一人旅を経験して以来、足掛け10年以上もバックパッカーをしてきた婚期逃し女子です。
初めてタイを訪れたのは2002年の日韓ワールドカップの頃。タイ人から「なぜお前は日本に帰ってワールドカップを観ないんだ」と怒られた記憶があります(笑)
その後、東京でのOL生活の合間に長期休暇を見つけてはアジアに通っていましたが、一念発起したのが2017年の春。そして実際にバンコクのコンドミニアムに入居した日は、私の36歳の誕生日でした。
(住まいのコンドミニアム屋上からの眺め)
タイへの移住のきっかけは「物価」と「ペット」
これまで色々な国を見てきた私が、タイでの暮らしを選んだ理由は、「物価の安さ」と「ペットとの同居」です。
バンコクの物価は当時は日本の半分程度
私がこの国で暮らし始めた2017年当時、まだまだ日本と物価の差が大きくありました。
そのため、生活に必要な衣・食・住にかかる費用が全体的に、日本の半分程度で納まっていた印象があります。
何の専門知識や特異な経験を持たない私が異国の地で働くには、現地採用の給与で生活できる物価の安さが移住先選定の必須条件だったのです。
ペットを連れて行くのが絶対条件!
婚期逃し女性の傾向に漏れず、私は日本にいた当時からポメラニアンを飼っていました。
「物価の安い国」だけで移住先を探すと、東南アジアのほとんどの国が候補に挙がります。ただ、それに加えて「ペットと移住」という点も加味すると、私にとってはタイが一番容易な国だったのです。
なぜなら、マレーシアのように宗教上の理由から犬がご法度とされる国や、インドネシアのようにペットを連れて行くには空港の検疫で数週間隔離される国もあるためです。
家族以上の存在であるペットとも暮らしやすいという観点から、タイは理想的な移住先だったのです。
タイ移住生活の現実
タイで移住して暮らす現在でも、まだまだカルチャーショックを受ける場面が多くあります。
そこで、ここからはタイでの暮らし「あるある」を交えて移住生活の現実をご紹介します。
タイのコンドミニアムにはキッチンがないことが多い
後述しますが、バンコクのコンドミニアムやサービスアパートメントでは、特に単身者用の場合はキッチンがありません。
あってもシンクが1つのみでコンロもないような、非常に簡素なものが多いのです。
タイでは自炊ではなく、外食や持ち帰りが基本
移住した当初は「タイ人は自炊しないのかな」と疑問に思いましたが、実際にタイ人の多くは自炊ではなく、外出先での食事や持ち帰りを主流としています。
タイの物価
バンコクの物価は急上昇している
首都バンコクの物価は年々上昇しており、移住者の立場からすると本当に辛いです。
屋台料理も値上がりし、軒先のカフェのコーヒーも、日本並みの価格で売られている場合も少なくありません。
2017年:20B(約60円)
2020年:30B(約100円)
従業員の給料は上がっていない
では、従業員の給与はというと、それがほとんど上がっていないのです。
そのためか、タイ人からは「愛社精神」を感じないことがよくあります。待遇面でより良い条件の職場が見つかればすぐに転職していく姿をよく見かけます。
タイの生活費と物件情報
家賃は高いものから低いものまでさまざま
バンコクには「日本人街」と呼ばれるスクンビットエリアがあります。
そのエリア内に50を超える日系の不動産会社があり、タイに住む日本人の多くがこれらの不動産会社で賃貸契約をします。
そして、コンドミニアムと呼ばれる形態は、部屋ごとにオーナーさんが変わります。
そのため、同じ物件、同じ間取りなのに、オーナーさんによって月々何万円という家賃の高い低いが発生するのです。
日本で暮らすよりもコスパは良い!
(バスタブがお気に入りの我が家のコンドミニアム)
私が暮らしているコンドミニアムの物件情報は以下の通りです。
●築8年
●45㎡の1LDK
●ペット可
●スイミングプールやフィットネスジムの共有設備あり
この条件でおよそ25,000B(約80,000円)です。現地採用者の給与からしたら少し高いですが、東京で暮らすよりは圧倒的にコスパが良いと思います。
思った以上に高いのが電気代
電気代は水増しされている場合も
痛恨だったのが、タイの「電気代」です。移住当初から今日まで、電気代の高騰に頭を悩まされています。
私のペットのワンちゃんは、日中1人でお留守番です。ペットの熱中症が心配となり、お留守番の際はエアコンをフル稼働させています。
その結果、毎月の電気代が20,000円前後となり、節約のために引っ越した経緯があります。
コンドミアムによっては「電気代はオーナーに支払」という場合もあり、オーナーが電気代の水増しをしてくることも少なくないためです。
電気代はそれでも高い
私の場合、半信半疑だったため、「1ユニットいくら」という、使った分だけ電力会社から直接請求がくるタイプのコンドミニアムに引っ越しました。
ですがそれでも、月々の電気代が15,000円を下る月はないほど、電気代は高いです。
今後タイへ移住をご検討されている方は、特に電気代に関しては高めに予算を組んでおいた方がいいでしょう。
(コンドミニアムの主寝室)
タイの移住生活 ~メリット編〜
「旅行」ではなく「暮らし」の観点から見ると、また違ったその国のメリットとデメリットが見られます。
その中でも私自身が経験した最も印象深いものに関して、2つずつご紹介します。
メリット①:案外給与が高い
東南アジアの周辺国と比較すると、タイは現地採用の場合でも案外、給与は高いです。
タイでは外国人が労働するに際の最低賃金が法律で決まっているため、よほどのブラック企業でなければ、ある程度の給与が保証されています。
私は現在、スクンビットの日経不動産会社に現地採用として働いていますが、月に60,000B(約18万円)程度のお給与を頂いています。
その中から毎日の生活費や家賃、保険料等を除いて、だいたい手取りの1割程度は貯金できている生活です。
メリット②:お金さえ出せば日本と変わらない生活が出来る
バンコクの街並みは日本であふれている
また、バンコクは、日本の様式そのままで暮らせるほど、日本で溢れています。
スクンビットこのエリアは日本の地方都市を思わせるような街並みが広がっているのです。
●日本食材を扱うスーパーマーケット
●塾
●日系の幼稚園
●中古品買取店
●美容院
などなど、タイ語よりも日本語の看板が目立つ異様な街並み。
日本を味わうには値段が跳ね上がる
一方で、それはつまり「お金と引き換えに」ということを表します。
日本のバスタブがあるような物件でしたら月々の家賃が跳ね上がりますし、バンコクの屋台で食べる30B(約90円)のラーメンは、プロンポンの一風堂で食べるとその10倍します。
ですがやはり日本人は日本の生活が恋しくなるものです。
私はあまり我慢せずに、ストレスが貯まりそうなときは牛角で一人焼肉を堪能したりするなど、メリハリのある生活を心掛けています。
タイの移住生活 ~デメリット編〜
続いてデメリットを2つご紹介します。
デメリット①:施策が強烈すぎる
急に発令される施策
タイは、何事に関しても、政府の施策が強烈という印象を受けます。
有名な「アルコール販売禁止」が発令されたのは施行日の前日。
新型コロナウイルス対策で、22時から翌朝4時までの外出禁止令が発令された際も前日の発令でした。
私自身チェンマイからバンコクへ夜行バスを利用するところで、逮捕されたら困ると思い、もう一泊チェンマイで宿泊した経験もあります。
日本人が発令情報を知るまでにはタイムラグがある
タイ人にとってはこれが普通なのかもしれませんが、日本人にとっては、強烈かつ急すぎると思います。
テレビはタイ語で報道するため、日本人が情報を得るにはどうしてもタイムラグが生じます。
もう少し、臨機応変に余裕を持った対応が出来ないものかと感じる時もしばしばで、デメリットに感じます。
デメリット②:3月~4月が暑すぎる
日本よりも確実に暑い
ソンクラーンは、4月の酷暑の時期に、豊作を水を掛け合って祈願しようというタイ1番のお祭りです。
タイの3月~4月は冗談ではなく、本当に暑く、お祭りで水を掛け合う気持ちもわかります。
よく日本人観光客は「日本の夏の方が暑い」と言いますが、間違いなくバンコクの4月の方が暑いです。
ホームレスが突然、夜のルンピニー公園の噴水に飛び込むのを見ると、「タイ人も暑いときは暑いって感じるんだ」と思ったりもします。
食材が腐りやすい
日中、近所のスーパーマーケットで買い物をした後、徒歩5分の我が家に着いて食材を開けてみたら既に腐っていた経験は、何度もあります。
我が家のワンちゃんもこの時期だけは外で散歩したくないというくらいです(笑)。
生命に危険を感じるレベルの暑さは大きなデメリットと言えるでしょう。
タイに移住するために必要な「ビザ」とは?
タイに限らずその国で暮らすとなると、その生活スタイルに応じたビザが必要になります。
私は、「労働ビザ」を会社から支給してもらっています。
昔はこの労働ビザ取得に際して学歴など、条件がありましたが、現在は大幅に緩和されています。
一方で、タイにはそれ以外にも、50歳以上の方が申請できる「リタイヤメントビザ」や、年会費を払うことで居住権だけでなくゴルフや医療などのサービスを無料で享受できる「タイランドエリートビザ」も人気があります。
さいごに~皆様のご質問にお答えします!
(カオサンロードの街並み)
いかがでしたか?
私自身のバンコクでの生活を余すことなくお伝えしましたが、最後に、よくある質問にお答えしたいと思います。
Q.失敗談はありますか?
A.両替所のトラブルなどお金関係のトラブルは多いです
お金関係のトラブルは非常におおいです。
旅行者が多いバンコクの「カオサンロード」に遊びに行った際、両替所で1,000B札を1枚ごまかされたことがあります。
ここは日本ではなく、異国の地なんだという想いを常に持たないといけないと痛感しました。
Q.怖い体験は?
A.私自身はありませんが、見聞きした話によると…
幸運なことに身に危険を覚えるような体験はありません。
しかし、友人からは、住んでいるコンドミニアムの屋上から日本人の飛び降り自殺に遭遇したという話を聞いたことがあります。
日本人居住率100%の物件で、日本人同士の近隣トラブルによるものだったということです。
Q. 日本で身につけておいたほうがいいことは?
A.タイ語のコミュニケーションはとても重要!
英語であれば、なんとなく看板で何のお店か判断できると思いますが、タイ語がわからないと、なんのお店か判断できないと思います。
その場合、必然的に、英語か日本語の看板があるお店で買い物をすることになってしまいます。
それでもいいですが、英語や日本語の書いてあるお店はその分、割高です。
生活費の節約の意味でも、最低限のタイ語の解読くらいは出来た方が良いですよ。
Q. 移住のための貯金はいくらくらい必要?
A.多ければ多いにこしたことはありませんが…
私の場合、ペットの輸送費などもあり、最終的に100万円程度が必要になりました。
移住に際しての費用は大きく、3つに分られます。
②車購入費用
③給与が振り込まれるまでの生活費
「車も必要ないし、仕事も既に決まっている」場合は、50万円ほどあれば移住の初期費用として問題ありません。
一方で、「車は絶対必要、仕事は現地で探す」という方は念のため、200万円程度は持参した方が安心かと思います。
バンコクの有名なスカイバーからの夜景
【著者プロフィール】
名前:清水み代(みよ)
学生時代に海外一人旅の面白さを覚え、アラフォーにして約15年務めた大手商社を退職しタイ・バンコクへ移住。平日は現地採用者として働きながら、休日は大好きなワンちゃんとバンコクの街並みを散歩するのが日常。
趣味は読書、お一人様カフェめぐり、仏閣めぐり。特技はマラソン。