《不便だけど魅きつけられる国、ネパール》移住生活の現実とその不思議な魅力に迫ります

  • 2020年5月14日
  • 2020年5月14日
  • TRAVEL
ネパールの八百屋

疲れてどこか別の国に行ってしまいたいと思うこともありました。

いや、今でも「何でこんな不便な国に長く住んでいるんだろう?」と疑問に思う時がたびたびあります。

しかし、なぜかいまだに暮らし続けているネパール。

今回はそんなネパールの不思議な魅力と移住生活の現実をお伝えします。

 

PR

プロフィール

ネパールの春の風景

ネパール在住歴12年目。夫は日本で出会ったネパール人。

息子の年齢は12才。私のネパール歴と同じなんです。

カトマンズの郊外の村に住み、子育てとアナログ中心の家事労働を送る毎日。リモートで日本メディアのWebライターもしています。

音楽やアートを楽しみながら暮らしています。

 

ネパール移住のきっかけ

ネパール移住のきっかけはひらめきでした。

夫から「そろそろネパールに帰ろうかなぁ」言われた時はちょうど出産時。

もともとひらめきで行動しがちな私は「子育てはネパールがいいかも」と直観的に思ったのです。

 

ネパール移住生活の現実

ネパールのキャベツ畑

ネパールはヒンズー教の国。

古都の風情漂うレンガ造りの寺院や、エベレストの山々は、観光者の目には魅力的に見えます。

しかし、旅と移住は同じようで少し違うんです。

 

ネパールの移住生活は足りないものだらけ

 

停電が多い
ネット環境も安定しない
料理に必要なガスボンベが品薄になる
水不足

 

などなど。ネパールでは足りないものがたくさんあります。

中でも一番困るのは水不足。蛇口から出ない水に溜息をつくこともありました。

「水が無い」って本当にキツいですからね。 

今では「無いのだから仕方ない!」とシンプルに切り替えるようにしています。そうすると、だんだん気にならなくなって、今ではモノが無いことの方が心地よくなってきています

 

ネパール移住は子育てにはおすすめ

ネパールのこどもたち

 ネパールの子供達

モノは無いけど明るいネパールの人たち。子供たちの笑い声も絶えません。

子育てするならネパールはおすすめですね。

開放型の育て方が一般的です。面倒見の良いご近所さんが周りにいてくれて、幼馴染み的な友達作りも出来ます。

在宅ワーク中に、子供は勝手に遊んでくれているし、自由で束縛されない親子関係が自然にできる環境です。

 

ネパール人の特徴

人間味あふれる人たち

ネパールの稲刈りのおばちゃんたち

 ネパールで農作業をするおばちゃんたち

声が大きく、腹の中はスパっと吐き出す人が多い印象です。

ケンカも派手にするけど、すぐ普通に戻って付き合うことができる、とっても人間臭い人たちです。

 

健気に送るシンプルな生活

ネパールの暮らしは、とてもシンプルです。

これは、貧しくて多様性がない生活を送っているという言い方もできます。

しかし、私は、貧しさの中から生れる底力みたいなものをネパールの人たちは持ち合わせているなぁと思いました。

 

プライベートという概念がない

パタンダルバール広場

 パタンダルバール広場

ネパール人は外向型の人が多く、とても気さくで、気軽に助け合う関係性を作ってくれます。

逆にプライベートという概念がありませんお互いの境界線が曖昧で、「気さく=イイ感じ」というふうに思えない場合もあります。

プライベートにどしどしと踏み込んで来られる感じは日本人には慣れないところかもしれませんね。

 

ネパールの食事

国民食はダルバートタルカリ

ダルバートタルカリ

ネパール国民食は、ダルバートタルカリ。

 

ダル=豆のスープ
バート=米飯
タルカリ=野菜のスパイス炒め

 

この3点にアチャールという酸味のある漬物がついて、さらに肉や魚がつくこともあります。

ネパール米は、日本米のように粘り気はありません。さらっとした食感で、マサラの効いたタルカリとの相性がバツグンです。

 

ネパールの食事は1日に4回

ネパールの食事時間は、一般的に大きくわけて4回くらい。

 

朝:ネパール茶(ミルクティ)とビスケットなど
10時頃:ダルバートタルカリ
4時頃:この時間の食事をカジャといい軽食を食べます
夕飯:ダルバートタルカリ

 

食事を食べる時は、よく手を洗ってから右手を使って食べます

ネパールはヒンズー教の国。宗教上から、肉や魚、卵などを食べない菜食主義の人もいます。また、宗教儀式や行事に沿って、食事制限がある日(断食日や肉を食べない日)もあります

 

ネパールの物価

ネパールの物価は年々上昇傾向

ネパールの家なみ

ネパールの物価は安く、日本に比べれば、安く暮らせる魅力があります。

ただ、近年は年々物価は上昇しており、以前にくらべれば高くなってきています。

 

ネパールの物件の相場

ネパールの物件は、知人に紹介してもらう

ネパールには不動産店がないので、通常は知人頼りに紹介してもらって見つけます。

私の場合は、5年ほど前から持ち家を建設し始め、いまだに建設途中です。未完成のまま住んで、資金がたまったら建築続行するというサイクルで暮らしています。

家賃はなく、Wifi設備、発電機、などはあります。

 

ネパールの物件の相場

 

一部屋だけ借りる場合
値段:5000ルピー~(1円=1.13ルピー 2020/5/9)
設備:ベッドルーム/トイレ共同

 

ワンフロアを借りる場合
値段:15000ルピー~
設備:
ベッドルーム、キッチン1、リビング1、トイレ1

 

一軒家を借りる場合
値段:15万ルピー~
設備:
ベッドルーム2or3、キッチン2、リビング1、トイレ2or3、パーキング

 

※WiFi設備の有無は各物件によります。また、物件の条件や場所などで賃金も上下します。

 

ネパールの食事や衣類の相場

ネパールの食事の相場

ネパールの軽食屋

 ネパールの軽食屋

 

移住してから自炊ができるまでは、最初は外食やテイクアウトが便利です。

 

ダルバートタルカリ:150ルピー〜
モモ、チャウミンなどの軽食:80ルピー〜
ネパールティ:1杯20ルピー

 

1ルピー1円とざっくり計算しても比較的安価なことがわかります。

ただ、観光者向けのレストランとなると、同じダルバートタルカリでも400ルピーくらいと高額になります。

 

ネパールの衣類の相場

ラガンケル商店街

 ラガンケル商店街

雑貨類や衣類などは、安価に手に入ります(1000ルピー以下)。

カトマンズのアサン商店街や、パタンのラガンケル商店街は、安い商品が揃っています。必要なものを揃えるために便利なショッピング街です。

 

ネパール移住の生活費

ネパールの家々

日本から移住した場合、「ネパール庶民に近い暮らし」~「贅沢な暮らし」まで、ライフスタイルを選択できます

ネパール庶民に近い暮らしの場合

ネパール庶民の超節約型ライフスタイルなら、一か月の生活費は約10000ルピー(約11000円)

ネパール人の一般庶民の月収は2~3万ルピーくらいなので、その1/3くらいが生活費というわけです。

ネパールでは、医者や経営者などでも10万を切る月収なのです。

 

贅沢な暮らしを送った場合

逆に、自家用車や自宅を持ち、運転手やお手伝いさん、庭師などのヘルパーを雇って贅沢に暮らすことも可能です

そして、休日は、隣国のタイやマレーシアなどに休暇に行って買い物やグルメを楽しむこともできます。

普段は、スポーツジムに行ったり、外食やパーティに出かける消費型のライフスタイルも選択できるのです。

 

ネパール移住生活のメリット

ネパールの畦道

ライフスタイルや考え方によってメリットとデメリットに感じることが大きく違います。

ネパールでは、すべて整った環境から始めることはできません。

そのため、「0」から始めたい人や「0」に近い生活をしたい人にとっては、メリットある国です。

 

自分の考え方を大切にできる

ネパールでは、細かいルールがなく、時間がルーズに流れています。

そのため、自分独自の考え方を大切に自由な暮らしができます

 

柔軟性が身に付く

ネパールはライフラインが整備されていないので、水不足や停電などに悩まされることが多くあります。

そのたびに強い柔軟性と対処法が身に付きます

 

子供たちは英語を学ぶことができる

ネパールの学校は英語教育がベースです。子供達はネパール語に加えて、自然に英語を学ぶことが出来ます

学校の受領では完璧さを求められないので、そこそこのことで大きく評価されたり、失敗も失敗に取られずに、軽く流されることもあります。

そのため、気楽でホッと和むこともよくあります。

 

ネパール移住生活のデメリット

ネパールの日常

ネパール暮らしは、忍耐とサバイバル根性がないと長続きしません。

そのため、気持ちが沈んでいる時には、ネパールの不便さは、すべてデメリットに繋がってしまいます

 

きちんとした日本と比べてしまう時

日本人気質が、自分の中に出てきた時、ネパールのズボラさや大雑把さが、すべていい加減で気に食わなくなることがあります。

貧しい人との関係性にも時々悩まされます。相手の立場になって想像すれば想像するほど、理解は出来るけれど対応できず、モヤモヤした気分になることがあるのです。

 

ネット環境が安定しない

ネパールの電線修理中の光景

停電がよくあり、ネット環境に支障があることも度々あります。

WiFi設備は、ほとんどのレストランやカフェなどにありますが、一般家庭ではまちまちです。

私は発電機などを設置してネット環境を整えていますが、それでも100%の安定するという保障はありません。

ネパールタイムでゆっくりと仕事をすることに慣れるしかない、そんな感じです。

 

ネパールに移住するためのビザ

ネパールの空港ゲート

  空港ゲート

ネパール移住を始める場合、まずは観光ビザを取得し、そこから学生ビザを取得する方法が簡単です。

私の場合は、主人がネパール人なので、結婚ビザで滞在しています。

 

観光ビザ

15日、30日、90日の三種類、その後150日まで延長も可能です。

長期滞在を目的とする場合、観光ビザ90日申請し、さらに90日ビザが切れる前にイミグレーションに行って延長申請をしましょう。

 

ビザ代
15日:30 USD
30日:50 USD
90日:125 USD

 

観光ビザ申請法は3種類 

①在日ネパール大使館で申請
②ビザ代行旅行会社から申請
③カトマンズトリブヴァン国際空港(KTM)の入国時に、オンライン申請

参考:http://www.nepalimmigration.gov.np/page/tourist-visa

 

学生ビザ

ネパールで長期滞在したい人が次に取得しやすいビザは学生ビザです。

ビソバサキャンパス(外語専門学校)に入学し、学生ビザ申請をします。

 

↓オンライン申請できます。

http://online.nepalimmigration.gov.np/study-visa

↓参考URL

http://www.nepalimmigration.gov.np/page/study-visa

 

★イミグレーションオフィス

TEL +977ー01ー4429659/4429660

dg@nepalimmigration.gov.np

mail@nepalimmigration.gov.np

info@nepalimmigration.gov.np

 

 FAQ

Q失敗は?

とにかく失敗の繰り返し

失敗だらけで、間違いだらけです。もう忘れてしまったくらい沢山あります。

これからもネパールに順応するために、失敗を何度も繰り返すと思います。移住歴12年でもいまだに順応できないことがあります。

 

Q怖い体験は?

自分はないけど、聞いたことには・・・

ネパールは比較的治安が良く、日常生活の中で怖いと感じることはありません。

ローカルバスに乗ると、ひったくりに合ったり脅された人の体験談をよく聞きますが、自分はまだそ怖い体験はしていません。

ネパールのローカルバス

 ネパールのローカルバス

 

ストライキが頻発する

怖い体験ではないのですが、ネパールにはネパールバンダ(ゼネスト:一斉に行われるストライキのこと)がよくあります。

バンダの日は外出禁止と公的機関はすべて閉鎖されます。

日中に暴動などが起こって事故や事件が多発しますが、外出しなければ問題ありません。夕方5時以降は、バンダが解除されるので平常に戻ります。

 

Q日本で身につけておいたほうがいいことは?

ネパール語または英語は身につけておくと便利

ネパール語は、日本語の文法と同じ並びなので、英語のように逆に考えなくてもよいのが覚えやすい点です。

英語は、ネパール人は比較的話せる人が多いので、英語が出来る方は便利かもしれません。

私は、日常会話や暮しに役立つネパール語はできますが、複雑な会話やくだけた言い方になると、ちょっと難しいのが現状です。

 

最後に

ネパールの魅力は、不便だけどシンプルで心地よいということ。

心地よくなるためには、常に気持ちはリセットして、大らかに生きることですね。

消費社会から逃れたい人、平凡なことで満足出来る人、どんな時も大声で笑える人

そんな人にネパールは合っているような気がします。