メキシコと言えば治安が悪いイメージが先行しがちな国。
私が移住を決めた時も「そんな危ない国には行かないで」と親からの反対もありました。
「半年だけ!」という口約束の元、地元を旅立ち、今もなメキシコで暮らしています。
この記事ではそんなメキシコでの移住生活のリアルをご紹介します。
プロフィール
(カンクンの公共ビーチ。観光客とローカルで賑わっている)
メキシコ在住は7年目。メキシコのカンクン在住。
メキシコに来てからはスペイン語学校に3ヶ月通い、現地就職をしました。
当初はメキシコで観光業の仕事をしていましたが、現在は主婦をしながら、在宅でWebライターなどをしています。
メキシコ移住のきっかけ
スペイン語を学習したかった
メキシコ移住のきっかけは、スペイン語を学びたいという気持ちからでした。
メキシコ移住前には、カナダに住んでおり、そこで多くの中南米の友達との出会いがありました。
彼らの話すすスペイン語を聞いて、「スペイン語の音や響きがかっこいい!次はスペイン語圏に住もう!」とスペイン語学習欲が駆り立てられました。
メキシコ移住を決めた理由は、そのような単純なきっかけからでした。
日系企業も多いメキシコでスペイン語を学ぶことにした
(工事中で道が不安定でもお構いなしに人を通行させる)
そしてカナダのビザが切れると共に日本に帰国。
日本でアルバイトをしてお金を貯め、メキシコへ来ることができました。
スペイン語を学ぶには、本場のスペインや格安のグアテマラ、ペルーやアルゼンチンなど国の選択肢はたくさんあります。
しかし、スペイン語を学んだ後に現地で就職することを考え、日系企業も多いメキシコを選びました。
メキシコ移住は旅行とは異なる
メキシコは観光名所や世界遺産が多く、年中多くの観光客で賑わっています。
特に私が住んでいるカンクンはリゾート地。
多くの観光客の方から、「こんな素敵なところに住めて最高ですね」と言われて来ました。
しかし、旅行と移住するのは全く違い、移住してからメキシコに対するイメージは変わってしまったのです。
メキシコ人の特徴
(炭火チキン屋さんで写真撮影に気さくに応じてくれた明るいメキシコ人)
メキシコ人の国民性として感じることは、次の3点。
②時間にとてもルーズ
③知らないことはでたらめに答える
①おしゃべり大好き
メキシコ人は本当に喋るのが大好きです。
仕事中に家族と電話をしたり、同僚やお客さんと世間話をしたり、とにかく黙っていることができません。
私がメキシコのオフィスで働いていた時も、黙って働く日本人とずっと喋りながら仕事をするメキシコ人はとても対照的でした。
街中でよく見かけるのはずっと電話をしているメキシコ人。そんなに話すネタがあるの?と思ってしまうくらいずっと電話をしています。
バスやタクシーの運転手でさえ業務中に誰かと電話で会話をしています。
②時間にとてもルーズ
メキシコ人は本当に時間にルーズです。
待ち合わせ時間には集まらないので、待ち合わせ時間から30分たった後に家を出る感覚の方が待たずにすみます。
そして遅れても悪いとは思っておらず、平気な顔してやってくるのがメキシコ流。
連絡もなく来ないというパターンもよくあります。
工事や修理を頼んだ業者も時間通りには絶対にこないので、「その日のうちに来たらよし」という感覚でいるようにしています。
③知らないことはでたらめに答える
メキシコ人に何か尋ねると、熱心に答えてくれます。
しかし、その答えはでたらめなことが多く、逆に混乱してしまいます。
困っている人の力になりたい一心で答えてくれますが、当たっていないことの方が多いです。
「知らない、分からない」とだけ言うのは失礼だと思っており、それらしき答えを教えてくれるのがメキシコスタイルです。
メキシコのソウルフード
メキシコ人のソウルフードはタコス
(メキシコ人のソウルフード、タコス)
メキシコ人の主食はトウモロコシや小麦粉でできたトルティーヤ。
タコスはメキシコ料理の中でも有名ですがメキシコ人は本当にタコスをよく食べます。
ただ、日本でイメージするパリパリの皮にひき肉のタコミートを入れたタコスではありません。
メキシコでいうタコスとはお肉や野菜、卵などの具材をトルティーヤで巻いたもの全般を指します。
自分で巻くスタイルのタコスも一般的
(メキシコで定番のランチプレート。写真は白身魚のフライ)
ワンプレートに焼いたお肉や野菜、豆、ご飯が乗った定食も一般的です。
これにトルティーヤがつき、お肉や豆、ご飯を巻いて手巻きタコスのようなものを作って食べます。
コーラの消費量が世界一
また、メキシコはコーラの消費量が世界一。そのため肥満の人も多く社会問題にもなっています。
しかし、メキシコのタコスとコーラの相性は最高なので、私もメキシコに来てからコーラを飲む機会が増えました。
メキシコでダイエットは難しいですね。
フルーツにチリソースをかける習慣
(道端で売られているフルーツやスナック菓子)
メキシコは暖かいのでマンゴーやパパイヤ、ココナッツなど南国フルーツがとても安くて美味しいです。
フルーツをカットしたものを道端で売っていますが、「ライムとチリはかける?」と必ず聞かれます。
フルーツはそのまま味わうものだと思っていましたが、メキシコではそうではありません。
子供からお年寄りまでみんなライムを絞り、チリソースやチリパウダーをかけて食べています。
メキシコの物価、税金
(スーパーマーケットのビール売り場。500mlの缶ビールで約120円)
メキシコの物価は日本によりも安い
メキシコの物価は年々上昇していますが、日本と比べると安い方です。
缶のコーラ(350ml):13ペソ(約80円)
一般市民の足であるバスやタクシーも比較的リーズナブルで、バスは60円、タクシーは240円〜となっています。
メキシコの税金はあまり気にならない
メキシコでは日本でいう消費税が16%かかります。
税率としては高いですが内税なので普段はあまり意識することはありません。
メキシコの移住の生活費、物件情報
(部屋を貸していることを表す張り紙。電話番号が書かれているので直接電話して部屋を見せてもらうことができる)
シェアハウスなら月30000円で生活できる
メキシコは貧富の差が激しい国なので、生活スタイルによって生活費は大きく異なります。
メキシコで家を借りる場合、シェアハウス(キッチン・洗濯機共同)やアパート・マンション、一軒家など選択肢はさまざま。
私は移住当初はは単身だったため、比較的リーズナブルなシェアハウスに住んでいました。
家賃は光熱費込みで約18000円/月。
メキシコ人とシェアをしていたため、勝手に食材や洗剤などが使われていたこともありましたが、贅沢をしなければ、1人あたり生活費としては30000円/月ほどあれば最低限の暮らしは送れます。
治安の悪いエリアは避ける
ただし、治安の面で不安がある地域は避けた方が無難です。
家賃や光熱費は上がりますが、治安がいいエリアやセキュリティがしっかりしたところに住む方がよいでしょう。
私が住むカンクンでもセキュリティ付きのマンションは家賃が10万超えています。
光熱費もエリアによって値段が変わる仕組みなので、高級エリアの電気代は驚くほど高いです。
メキシコで物件を探す方法
メキシコで家探しをする方法としては主に3つの方法があります。
●不動産会社で仲介してもらう
●ネットで探して連絡する
私はメキシコ生活7年で引越しを4回経験しましたが、これらの3種類の方法を全部試しました。
直接連絡する方法が仲介料がかからないので安く済みますが、不動産会社の担当者の交渉のおかげで家賃が下がったこともあります。
交渉ごとはメキシコ人に任せておく方が無難でした(その後の大家さんとのトラブルにも対応してくれました)。
物件は家具やwifi付きのところが多く、移住当初はスーツケース1つで入居できたのはとても楽でした。
メキシコ移住生活 メリット
(青空とカラフルなブーゲンビリア。晴れの日が多くカラフルな花が多い)
心に余裕が生まれる
何事も一筋縄ではいかないメキシコ。スムーズに終わったためしがありません。
●洗面所を修理してもらったら、トイレが壊れてしまう
●役所で手続きをする人の機嫌が悪いとなかなか進まない
スムーズにいくに越したことはありませんが、うまくいかなくても「まぁそんなもんだよね〜」と流せるようになります。
私自身、日本にいたころよりは性格がかなり丸くなったと感じています。
年中気候がいい
私の住むカンクンは常夏で年間平均気温が27℃です。
私は、冬の寒さと暗い感じが苦手なので、メキシコの快晴の日が多い気候が気に入っています。
人目を気にしなくなる
私はメキシコに移住して、自分の意見が言えるようになりました。
元々人目を気にしてしまいがちで、日本では自分の意見を言うのが苦手でした。しかし、自分の意見をはっきり自信をもって言うメキシコ人に影響されて変われたのだと思います。
メキシコは多民族国家なので、差別なく様々な考えを受け入れてくれるので、とても心地がいいです。
メキシコ移住生活 デメリット
(防犯対策としてビーチをバギーでパトロールする警察)
続いて、私が感じるメキシコ移住生活のデメリットは、次の3点。
●医療費が高い
●給料が低い
治安が心配
私が住むカンクンは大型リゾート地で、メキシコの中でも治安はいい方です。
しかし、特に日本人はお金を持っていると思われて狙われます。
そのため、派手な格好をしない、貴重品から目を離さない、など細心の注意は払う必要があるのです。
医療費が高い
国立病院は診察無料
メキシコで就職した場合、イムス(IMSS)と呼ばれる社会保険に加入します。
これにより、メキシコの国立病院での診察が無料で利用できるようになり便利です(診察代は無料。薬代は別途)。
しかし、国立病院はなかなか予約が取れず、また、衛生面でとても不安があります。
市立病院は高額
そのため、日本人のほとんどは私立病院を利用しているのが現状です。
勤めている会社が高額医療保険に加入してくれる場合もありますが、そうでない場合は実費になり、高額な医療費が請求されます。
私はどうしてもメキシコで手術をしなければならず、日帰り入院で手術した際、日本の3倍以上はかかったことがあります。
給料が低い
メキシコ人の平均月収は4万円ほどです。
メキシコ内で生活していく分には困りませんが、日本への一時帰国費用を貯めるのには時間がかかります。
移住者が現地採用で仕事をする際、観光業などでほぼ日本語だけを用いて仕事をする場合は、給料はとても低くなる傾向があります。
しかし、スペイン語が得意で、日系企業で通訳などのオフィスワークをする場合は比較的給料が高くなるのでおすすめです。
(ただし、日系企業が集まる場所は治安が悪い地域でもあるので、治安の面では観光地の方がおすすめです。)
メキシコ移住に必要な軍資金
(メキシコのローカル市場。店員さんはサッカー中継に夢中)
私がメキシコ移住の際に準備していた軍資金は合計60万円です。内訳は以下の通りです。
半年分の生活費:45万円
実際は、語学学校を終える頃に3社から内定をいただき、語学学校が終わった後すぐにビザの手配に移れました。そのため、60万円を使い切ることはありませんでした。
メキシコで就職する際、日本からの応募よりメキシコからの応募の方が面接等スムーズに進み、採用されやすいと感じました。
メキシコに移住するには(渡航、ビザ)
(イミグレーションでビザの手続きのために並ぶ人たち)
私はメキシコで最初に語学学校に通う予定だったので、観光ビザでメキシコに入国しました。
180日以内の滞在で、収入を得ない場合は観光ビザでも語学学校に通えるのです。
その後、180日以内に就職先を見つけ、就労ビザへの切替を行いました。
ビザ発行の条件
観光ビザ
収入を伴わない滞在の場合は最大で180日の滞在許可がメキシコ入国時にもらえます。
就労ビザ
メキシコで就労する場合には必ず必要で1年毎に更新をする必要があります。会社のサポートでの取得が一般的です。
ビザの取得方法と手続き
日本出国前からメキシコでの就職先が決まっている場合は、以下の流れになります。
→日本のメキシコ大使館で面接
→メキシコ入国後ビザを取得
先に観光ビザで入国して後にメキシコで就職した場合は、次のような流れです。
→国外のメキシコ大使館で面接
(ほとんどアメリカ)
→ビザ取得
ビザの準備
私の場合、ビザの手続きは全て会社が行ってくれました。
メキシコでの就労ビザ手続きには外務省のアポスティーユ付きの卒業証明書が必要です。
メキシコで就職を考えている場合、事前に日本で準備しておくと、日本から取り寄せる必要がなくなります(日本で代理人に取得してもらい、EMS等で郵送してもらうことも可能です)。
FAQ
(メキシコのファミレスでスペイン語を勉強)
失敗は?
メキシコ人の国民性を理解する
メキシコ生活では失敗の連続です。
メキシコ人は、隙あらば仕事をサボろうとするので、国民性に慣れるまではイライラして喧嘩したこともよくあります。しかし、今思えば、効率は良くなくてもメキシコ人なりのやり方を尊重すべきだったと思います。
メキシコではお金の貸し借りはしない
また、移住当初は大家さんとの金銭トラブルになったこともありました。メキシコ人とお金の貸し借りは禁物です。
絶対に返ってこないと身をもって感じることができました。
怖い体験は?
安全な地域でも治安に気を付ける
メキシコ移住生活では、やはり治安に気をつけておいた方がいいと思います。
私は怖い思いをしたことはありませんが、友達はナイフを見せられカバンを引ったくられたり、夜中にタクシーで知らないところに連れて行かれました。
メキシコ内では安全な地域といっても危ないことはよくあります。
マフィアの抗争が激しい国
また、メキシコと言えばマフィアの抗争が激しい国。
私が住んでいるカンクンでも一時期発砲事件が増えたことがありました。一般人は巻き込まれないとはいいますが、怖いなと思いながら生活していました。
日本で身につけておいたほうがいいことは?
スペイン語は身に付けておくべき
やはり、何かと役に立つのはスペイン語です。
メキシコ移住前に時間がある場合は簡単なスペイン語を身につけておくと生活しやすくなります。
英語は観光地やホテルなどでは通じますがその他では通じないことが多いです。
何事もスムーズに行かない前提で考える
また、何事もスムーズにいかない前提で考えておいた方が無難です。
全てを真面目に考えて真に受けるタイプの人は、メキシコ生活に疲れて日本に帰国してしまいます。
うまく行かなくても、「メキシコだから仕方ない」と流せる力は必要ですね。
まとめ
メキシコで生活して7年。正直最初はこんなに長くいるとは思っていませんでした。
うまくいかないことの方が多く、さまざまなネガティブな経験をしてきました。
それでも私はそんなメキシコ生活をとても気に入っています。メキシコにいるとうまくいかないことが前提なので、なんとかなるさの精神で日々を送ることができます。
落ち込むことがあっても明るく陽気なメキシコ人、自分大好きで自分を大切にしているメキシコ人を見ていると私ももっと人生を楽しもうという気分になります。
そして、嫌なことがあっても美しいカリブ海を眺めて心をリセットできる環境は、私のお気に入りです。